2009年03月05日

いつか行く場所

天井に目をやったまま、彼は言った。


「もう、あの世に行きたい。」



彼は末期の胃ガンだった。


本人は薄々、気付いていたが、周りは胃潰瘍で通していた。


それから1週間後の早朝。


彼の息子と見舞いに行った私は、息子が医者と話をするために部屋を出たので彼と2人きりになった。


突然、彼はスッと起き上がり

「ああ、身体がラクだ、どこも痛くない。」


と言った…


ところで、

家で寝ていた私は、彼の最期を告げる電話の音で夢から覚めた。



あれから、10数年。

何か身体や精神が苦しい度に


「もう、あの世に行きたい。」


と言う声が、頭にボンヤリひびく。



彼は…


亡くなる直前も同じように思っていただろうか?


いや、


きっと…。

いつか行く場所


もう、彼岸桜が咲き出した。


命日が近い。



Posted by ノア at 23:57│Comments(4)
この記事へのコメント
「天命」という言い方はしたくないが・・人には
起源&期限がある。命或る物、必ず終わりが来る。最近、自ら命を絶つ愚か者が増えて
いるそうな。不景気だからとか、格差だとか、
そんな理由で命を絶つ・・正に「愚の骨頂」。
生或る限り、足掻いても苦しんでも生きなければならんのです。そう思う、今日この頃。
ハイっ!席替え~(ごきげんようのノリで)。
「あ」さんの口から、「京本政樹」の名前が
出て来るとは・・驚き。「悲しみ色の・・」を
今度歌ってみましょうか?機会があれば。
Posted by ヤイころ at 2009年03月06日 11:00
ヤイころ様
そ〜ですよ。
でも、弱音は吐いても良いと思うんです。弱音を吐いてもヤイころ様のコメのように生きてほしい。
カラオケ、よろしくです〜(組紐、用意しときます)
Posted by アミトの『あ』 at 2009年03月06日 16:53
もち~組紐は、「鈴」と「鏃」両方のタイプを
ご用意いただけるのですよね?「あ」さん。
ヲタク会話ですが、「鈴」タイプはⅤの初期。
「鏃」タイプはⅤ激闘編にて使用の、組紐屋
の竜の仕事道具です。初期タイプの殺しは、
三味線屋の勇次みたく、上に吊るし上げる系
でしたが、激闘編では「鏃」を利用し、組紐で
締め上げて殺すのです。ヲタク知識でした。
Posted by ヤイころ at 2009年03月06日 18:38
ヤイころ様
予算オーバーですから
用意できるのは麻紐です
(^-^)小道具に頼らず、美しく歌ってください
Posted by アミトの『あ』 at 2009年03月06日 19:01
 
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