BAR Criadera(クリアデラ)
本日、最後のお客様はドクターT。
私の洋酒との関係に大事な方である。
6年前、白銀ビルのBARクリアデラでモルトに出会った。
ブランデーとウイスキーが同じと思うほど、無知だった。
そこで、渋い男性のお客様方が口々に
『モルト』
と仰る。
モルトとは…?
ラムやジンのように、酒の種類だと…私は考えた。
BARクリアデラは有名なモルトBARである。
もちろん、カクテルも美味しいが、棚に納まらず、至るところに並ぶモルトウイスキーは約1500本。
モルトはウイスキーだった(当然だが…)。
ドクターTをはじめ、夜な夜なモルトファンが集まると、モルト談議が始まる。
私は上村くん(現ルチアーノ、マスター)のカクテルを飲みながらモルトの話を聞いていた。
講義のように、マスター・大塚さんをはじめ、各人、飲んでいるモルトをテイスティングさせてくれる。
日に5〜6種類、テイスティングさせていただきながら、50種類を越える頃…
私は、初めて自分でモルトを注文した。
当時、流行りのクライヌリッシュの何かで、華やかで綺麗なモルトである。
たかが30ミリリットル。
1時間経過しても半分も減っていない。
人からいただく1口を数分味わい教わるスタイルに
慣れていたせいだ。
2時間が過ぎる頃…
酔っているとまではいかないが、たまらなく心地よい浮遊感を初体験していた。
1席あけて隣にいるドクターTに
「とても心地良いんだけど、こんなに時間かけたら、迷惑な客ですよね。」
と話すと、彼は当たり前のように言った。
「あなたのモルトだ。好きに飲んだらいい。
誰も何も言わない。」
それは、本当だった。
私が楽しんでいるのが、知れているように、誰も早く飲めとは言わない。
この体験が、私にBARでの姿勢を教えてくれた。
酒は他人に迷惑をかけず、自分が楽しいのなら、多少のルール違反(ロングやショートを飲むスピードや組み合わせ)は気にしなくていい。
自分のペース&スペース。
ドクターT様、ありがとうございました。
BAR Criader(クリアデラ)
都町白銀ビル3階
097-513-6510
19時より営業・定休日無し