私が、イチバン、怖いこと
5歳に満たない頃
初めて『恐怖』を認識した。
2歳半からの喘息キャリアの私の枕元で何度か聞いた言葉が、きっかけ。
『だめかもしれない』=『死』
『死』って、なんだろう?
泣きながら母に聞く。
母「眠ってる時と同じよ。」
私「いつまで?」
母「永遠に。」
私「永遠って、どのくらい?」
母「ずっと。」
怖くて怖くて泣いた。
泣く私に母が言った。
母「また、生まれてくるのよ。今みたいに。」
私「何回?」
母「ずっと。」
でも、私は教育テレビで、人間の時代が浅いことも知っていた。
私は以前はブロントサウルス(お気に入りの玩具)だったのか?
しかし、記憶はいっさいがっさい無い。
今でも、思うと胸が「ひゅん」と怖くなる。
私が怖かったのは
死ではなく
『永遠』
という、計り知れない長さだった。
例えば、私の体はどこまでが私なのか。
目に見える体から10センチ先に私の汗や匂いが飛んでいたら、そこには私がいる。
そうやって、緻密に調べると…私も永遠に広がっている気がする。
『宇宙は?』
宇宙も永遠ではないらしい。
『壁』がある。
『壁』はどのくらい?
分厚い分厚い壁が果てしなく続く?
『永遠』?
終わりの向こうは黒い空間…永遠に?
『永遠』という、理解不能な長さ。
私には、死よりも幽霊よりも怖く感じるもの。
いまだに。