色の魔法が解ける頃
年の近い姉と2人姉妹である。
負けず嫌いな私を気遣った母は、姉とお揃いの物を買ってくれた。
お揃いのワンピース・タオルケット・ハンカチ…。
ただ、色は殆どの場合、ピンクと水色。
姉が先に手を出すと必ずピンクを取った。
たいていの物を私に先に選ばせた、
母の姉への思いだったのだろう。
私の目から見ても、優しい印象の姉にピンクはよく似合った。
私は…水色を綺麗だと思った。
すごく綺麗な水色を自分の色だと思い、大好きになった。
年月が過ぎ、揃いの物を買わなくなった頃
母が買ってきたピンクの服に嫌悪感を覚えた。
つい10年ほど前まで、赤やピンクが大嫌いだった。
けど…
ある時、大切な人からピンクのカーディガンをもらった。
それを着た私は、
自分でも、まんざらじゃないと思った。
ピンクを姉の色と納得するために
幼いながらも私は
ピンクが嫌いだと自分に暗示をかけたのだ。
最近、好きな色がたくさんあることに気付いた。